民法の改正が議論されています。

現在、法務省において民法の債権関係の改正が議論されています。

債権というのは「契約」をイメージしてもらうと分かりやすいと思います。

さて、この改正で議論されている内容は、不動産取引(売買契約や賃貸借契約)に大きく影響を及ぼすこととなりそうです。(借地借家法は民法の特別法ですから、民法が改正されれば、関連のある借地借家法も改正がされる事になると思われます)

たとえば、こんな所が変わることになりそうです。

売買契約における瑕疵担保責任について。

瑕疵担保責任とは民法570条に規定されているもので、売買の目的物に隠れたる瑕疵があった場合は、買主はそれを知った時から1年以内に契約を解除したり、損害賠償請求ができるというものです。

ところでこの瑕疵担保責任ですが、現在の取引においては売主の責任を免責とする内容が一般的です。つまり、引き渡し後に隠れたる瑕疵が発見されても、買主は売主に対して損害賠償請求などができないという事になります。

さて、改正の話ですが、

今回の改正では「瑕疵」という言葉が「契約不適合」という言葉に置き換えられるとされています。

単純に言葉が変わっただけであれば、これまで通り免責するという手段がありのような気がしますが、これを文章にすると

「売買の目的物に契約不適合(契約の趣旨に適合しない)があっても売主はその責任を負わない」

なんだか矛盾している思いませんか?
なので、このような契約不適合責任を排除する契約というのは認められなくなるようです。

そうなると、今まで以上に売主のリスクが増えるわけですから、契約後の損害賠償や解除といったトラブルを避けるため、事前の建物検査や一部の不動産会社などが取り扱いを始めている、事前に検査をした建物に対して保証をつけた売買などがより一層広まるかもしれません。

ちなみに、これらは現段階で(案)ですから、すべてがこの通りになるというわけではなく、今後も様々な議論を経て、実際に民法が改正されるまでには早くてもあと2年ほどかかるようです。